2020.12.28

風邪薬について

皆さんは「風邪」と言われると、どのような症状を思い浮かべるでしょうか?熱、のどの痛み、せき、鼻水など人それぞれかと思います。市販の「総合感冒薬(かぜ薬)」には、風邪の諸症状として、最大で「11の症状」が記載されています。

風邪の「11の症状」とは

市販薬の箱には必ず「効能・効果」という記載があります。多くの総合感冒薬には「風邪の諸症状(せき・たん・のどの痛み・発熱・鼻みず・鼻づまり・くしゃみ・悪寒・頭痛・関節の痛み・筋肉の痛み)の緩和」と記載されています。( )内が風邪の「11の症状」にあたり、記載順は商品によって異なります。

風邪の症状について

風邪の症状は様々です。季節によって流行しやすい風邪は変わり、また個々人によっても罹り易い風邪は異なります。そのために当然ですが必要な薬は変わります。たとえば頭痛、のどの痛み、咳があっても、鼻みずなどの症状がない方は、11の症状の全てに対応する薬は必要ありません。むしろ余計な成分が有るほど、副作用のリスクだけが高くなります。

眠気の出ない風邪薬

例えば、総合感冒薬を服用すると、よく眠気が出て困るという方もいらっしゃるのではないでしょうか。【改源錠(カイゲンジョウ)】という薬があります。箱の表には『眠くなる成分は入っていません』と書かれています。箱の「効能・効果」を見ると風邪の11の症状のうち<鼻みず・鼻づまり・くしゃみ>の記載が見当たりません。これらの症状を止めるには、「抗ヒスタミン」というカテゴリーの中の一成分が使用されることが多いのですが、眠気を催しやすい成分でもあります。「抗ヒスタミン」が入っていないこの総合感冒薬は、風邪の症状のうち「鼻みず」などの症状がない方に適しており、日常的に車の運転をされる方も安心して服用できる薬と言えます。

風邪薬の選び方の4つのポイント

風邪薬を選ぶ際は、次の4つのポイントを押さえながら箱を見ましょう。

1) 一番不快な症状は何ですか?

薬箱に大きい文字で書かれている効能を参考にして下さい。それがその商品の売りなので最初の手がかりになります。

2) 他に気になる(二番目、三番目の)症状は何ですか?

箱の裏(もしくは側面)に記載されている「効能・効果」を確認して下さい。そこに他の気になる症状も記載されているでしょうか?

3) 使うのは1人だけですか?

箱の裏(もしくは側面)に記載されている「用法・用量」を確認して下さい。ご家族で共有する場合は、必ず対象年齢を確認して下さい。

4) 「使用上の注意」は必ず目を通しましょう。

使い方の注意点や使ってはいけない人、保管方法などが書いてあります。わかりにくい場合や併用薬がある方は薬剤師、登録販売者に相談してからご購入して下さい。

以上の4点を確認して選べば、いまの風邪症状に合った薬が見つかるはずです。 また、「熱または、のどが痛いだけ」「咳が出るだけ」「鼻みず・鼻づまりがあるだけ」など1~2の症状しかない方は、「風邪薬」ではなく、その症状に合った他の薬を選びましょう。薬はリスクです。少しでも迷った際は、薬剤師または登録販売者に相談する習慣をつけましょう。

付録:今回の薬用植物

「オウゴン」

オウゴンは、コガネバナ(シソ科タツナミソウ属の多年草)の周皮を除いた根。 春または秋に掘り起こし根を切り離し、水洗して陽乾し用いる。 中国北部などで栽培されている。 消炎解熱の薬効を有し、炎症充血発熱を伴う疾患の漢方に配合されやすい。 主な漢方。小柴胡湯、半夏瀉心湯など

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