2025.09.09

歯磨き粉の使い分けについて

ドラッグストアの歯磨き粉の売場を見ると、自分に合った歯磨き粉をどのように選んだらよいのか、種類が多くて選ぶのに困りませんか。値段、ブランド、フレーバー、効能など何を基準に選べばよいのか迷ってしまいますよね。

歯磨き粉について知っていただきたいこと①

歯磨き粉は、法律的に「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」の三種類があります。

・「化粧品」―薬用成分を含まずに、歯や口の洗浄により、歯を白くしたり、ヤニの除去、虫歯予防に使用する。「なた豆歯磨き粉(薬用と表記のないもの)」など。

・「医薬部外品」―薬用成分を含み、虫歯予防、歯周病予防、口臭予防などに使用する。“薬用”の言葉が必ず冠せられている。「薬用GUMデンタルペースト」など。

・「医薬品」―医薬成分を含み、歯周病の諸症状(はれ、出血、口臭など)の改善、緩和などに使用する。「医薬品のアセス」など。尚、『治療薬』ではありませんので、強い症状がある方は、歯科医を受診して下さい。

歯磨き粉について知っていただきたいこと②

広告の目玉商品としてチラシに大きく載ることが多いですが、どの歯磨き粉を選ぶかは、価格よりも「効能=自分の悩み(症状)と合わせる」ことが一番大切です。そのうえで、価格やフレーバーを確認して下さい。

歯磨き粉について知っていただきたいこと③

多くの方がお買い求める「薬用歯磨き(医薬部外品)」の効能は、主に以下の通りです。

・虫歯予防―フッ素配合(1000ppmが効果ありの目安)

・歯周病予防―殺菌成分、抗炎症成分、血行促進成分の配合

・知覚過敏―硝酸カリウム、乳酸アルミニウムの配合

・ホワイトニングー研磨剤の配合

箱書きやチューブに記載されていること(効能)と、自分の悩み(症状)が合致しているか確認して下さい。

尚、「口臭予防」については、どの歯磨き粉にもほとんど記載があると思います。

歯磨き粉について知っていただきたいこと④

多くの歯磨き粉は歯を白く見せる(ホワイトニング)ため、研磨剤が入っていますが、年齢や、歯や歯茎の状態により、研磨剤を使用しない方がよい場合があります。

知覚過敏、歯周病、インプラントの方、電動歯ブラシを使用している方(ブラッシングの力が強いため)、乳児や小児(歯のエナメル質が柔らかいため)または高齢の方は研磨剤を使用しない方が無難かと思います。特に、粗い粒子入りの歯磨き粉は、研磨力が強いためおすすめできません。また、歯茎の間に粒子がはさまり、炎症につながる場合があります。

液体ハミガキや、泡、ジェルの剤形をした商品はほとんどが研磨剤不使用です。ペースト状の商品は「研磨剤は入っていません」という表記を必ず確認して下さい。

朝・昼・晩の使い分け

歯や歯茎の状態に特に問題のない方は、朝・昼・晩で歯磨き粉を使い分けしても良いかと思います。

※以下は、あくまで参考例です。

・朝―口臭予防や、出がけのすっきりした気分に清涼剤の入った歯磨き粉を使用する。

・昼―職場などで時間が取れない時は、洗口液を使用する。また歯間ブラシを併用して、歯の隙間や歯と歯茎の間に汚れを残さないようにする。

・夜―就寝中はだ液が出ないため、口の中に菌が繁殖しやすいので、寝る前は歯周病予防などの殺菌作用のある歯磨き粉を使用する。

歯磨き後の“うがい”については、歯磨き粉の効能を活かすために、1~2回程度少量の水で“うがい”するのが良いようです。大量の水で何回もうがいすると、歯磨き粉の有効成分が薄れてしまうので注意しましょう。

歯磨き粉以外のこと

歯磨き粉を使用する際は、ブラッシングを正しく行うことは当然ですが、歯間ブラシ・フロスを併用することにより、歯の隙間や歯と歯茎の間に汚れを残さないようにすることで、歯肉炎や歯周病の予防に大きな効果があります。虫歯は一本ずつ歯を失う可能性がありますが、歯周病は一度にたくさんの歯を失う可能性があります。歯磨き粉、歯ブラシとともに、歯間ブラシ・フロスもぜひ使用下さい。

歯磨き粉でわからないことなどがあれば、薬剤師、登録販売者にお気軽におたずね下さいね。

付録:今回の薬用植物

アマチャ(甘茶)は、ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木。

日本の中部山中にまれに自生し、ヤマアジサイの変種と言われている。一般にはヤマアジサイの他の変種も含んで栽培されることがある。

古くからお茶として親しまれているが、濃いアマチャを飲んだところ悪心、嘔吐を起こした事例が発生したため適量で飲用するよう注意が必要である。

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